花粉症の時期に奥歯が痛くなる…それ、虫歯じゃないかもしれません
花粉症の季節になると、鼻水やくしゃみ、目のかゆみに悩まされる方が多いと思います。
そんな中、「なぜか奥歯が痛い」「上の歯がズキズキする」という症状を感じている方はいらっしゃいませんか。
歯が痛いと、まず「虫歯かな」と思いますよね。でも、花粉症の時期に起きる歯の痛みは、実は虫歯ではない可能性があります。
その原因の一つとして考えられるのが「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」です。
この記事では、花粉症と歯の痛みの意外な関係についてお伝えします。「虫歯かと思って不安になっている」「歯医者に行くべきか迷っている」という方の参考になれば幸いです。
副鼻腔炎とは、どんな状態?
まず、副鼻腔炎について簡単にご説明します。
副鼻腔とは、鼻の周りにある空洞のことです。頬の裏側、おでこの裏、目の間など、顔の骨の中にいくつかの空洞があり、それぞれが鼻の中とつながっています。
通常、副鼻腔の中は空気で満たされていますが、風邪やアレルギーなどで鼻の粘膜が腫れると、副鼻腔と鼻をつなぐ通路がふさがってしまいます。そうすると、副鼻腔の中に膿や粘液がたまり、炎症を起こします。これが副鼻腔炎です。
副鼻腔炎は、風邪をきっかけに起きることが多いですが、花粉症などのアレルギー性鼻炎がきっかけになることもあります。花粉症で鼻の粘膜が腫れた状態が続くと、副鼻腔炎を併発しやすくなるのです。
なぜ副鼻腔炎で歯が痛くなるの?
副鼻腔炎で歯が痛くなるのは、副鼻腔の位置が関係しています。
副鼻腔の中でも、特に「上顎洞(じょうがくどう)」と呼ばれる部分は、頬の裏側、ちょうど上の奥歯の根っこのすぐ上にあります。
上顎洞と上の奥歯の根っこは、非常に近い位置にあります。人によっては、歯の根っこの先端が上顎洞の中に飛び出しているようなケースもあるほどです。
そのため、上顎洞に炎症が起きて腫れたり、膿がたまったりすると、その圧力や刺激が歯の根っこに伝わって、歯が痛いように感じることがあるのです。
これは歯そのものに問題があるわけではなく、副鼻腔の炎症が原因で起きる「関連痛」と呼ばれる現象です。
副鼻腔炎による歯の痛みの特徴
副鼻腔炎が原因で起きる歯の痛みには、いくつかの特徴があります。
上の奥歯に痛みを感じる
上顎洞は上の奥歯の近くにあるため、痛みを感じるのは上の奥歯であることがほとんどです。下の歯や前歯が痛い場合は、別の原因かもしれません。
複数の歯が同時に痛む
虫歯の場合は、特定の一本の歯がピンポイントで痛むことが多いです。一方、副鼻腔炎の場合は、上の奥歯全体がぼんやりと痛む、複数の歯が同時に痛いと感じることが多いです。
頭を下げると痛みが強くなる
お辞儀をするように頭を下げたり、かがんだりすると、副鼻腔の中の圧力が変化して痛みが強くなることがあります。
鼻づまりや鼻水を伴う
副鼻腔炎が原因であれば、歯の痛みと同時に、鼻づまり、黄色や緑色の鼻水、頬のあたりの重い感じなどの症状があることが多いです。
階段を降りるとき、歩くときに響く
歩いたり階段を降りたりするときに、その振動で歯に響くような痛みを感じることがあります。
これらの特徴に心当たりがある場合は、虫歯ではなく副鼻腔炎が原因かもしれません。
虫歯との見分け方
とはいえ、自分で「これは副鼻腔炎だ」「これは虫歯だ」と判断するのは難しいものです。
一般的には、以下のような違いがあります。
虫歯の痛みの特徴
・特定の一本の歯がピンポイントで痛い
・冷たいもの、甘いものがしみる
・噛むと痛い
・痛みが続く、だんだん強くなる
・鼻の症状はない
副鼻腔炎の痛みの特徴
・上の奥歯が全体的にぼんやり痛い
・頭を下げると痛みが増す
・鼻づまり、鼻水がある
・頬や目の周りが重い、圧迫感がある
・花粉症や風邪の症状がある
ただし、これはあくまで傾向であり、両方の原因が重なっていることもあります。実際に虫歯があって、同時に副鼻腔炎も起きているというケースも珍しくありません。
はっきりした原因を知るためには、お口の中を確認してもらうことが大切です。
歯医者に行ったら虫歯がなかった、というケース
実際に、花粉症の時期には「歯が痛いので来ました」という患者さんが増えます。
お口の中を拝見して、レントゲンを撮って確認しても、虫歯が見つからない。歯周病も特に問題ない。そんなケースがあります。
そういったときに、「最近、鼻の調子はいかがですか?」とお聞きすると、「そういえば花粉症がひどくて…」「鼻がずっと詰まっています」というお答えが返ってくることが多いのです。
虫歯がないのに歯が痛いと言われると、不安になりますよね。「本当に大丈夫なの?」「見落としているのでは?」と心配になる気持ちもわかります。
でも、歯に問題がないのであれば、それは安心材料の一つです。痛みの原因が副鼻腔炎であれば、鼻の症状が落ち着くと歯の痛みも自然に治まることが多いです。
副鼻腔炎が原因の場合、どうすればいい?
副鼻腔炎が原因で歯が痛い場合、歯の治療をしても痛みは改善しません。根本的な原因である副鼻腔炎の治療が必要になります。
副鼻腔炎の治療は、耳鼻咽喉科が専門です。鼻の炎症を抑える薬や、副鼻腔にたまった膿を出す処置などを行ってもらうことで、症状が改善していきます。
「歯が痛いのに耳鼻科?」と思われるかもしれませんが、痛みの原因が副鼻腔にあるのであれば、そちらを治療する必要があるのです。
もちろん、最初から耳鼻科に行くべきか、歯医者に行くべきか、迷うこともあると思います。そんなときは、まず歯医者で歯に問題がないかを確認してもらうのも一つの方法です。歯に問題がなければ、耳鼻科の受診をおすすめすることができます。
花粉症の時期にできるセルフケア
花粉症による副鼻腔炎を完全に防ぐことは難しいですが、症状を和らげるための工夫はできます。
花粉を避ける
マスクやメガネで花粉の侵入を防ぐ、外出から帰ったら顔を洗う、服についた花粉を払ってから家に入るなど、基本的な花粉対策を心がけましょう。
鼻うがい
鼻の中を洗い流す「鼻うがい」は、鼻の粘膜についた花粉やアレルゲンを洗い流すのに効果的です。専用の洗浄液を使うと、刺激も少なく行えます。
加湿
室内の空気が乾燥していると、鼻の粘膜が荒れやすくなります。加湿器を使って適度な湿度を保ちましょう。
早めに薬を使う
花粉症の症状がひどくなる前に、早めに抗アレルギー薬を使い始めることで、症状を軽減できることがあります。市販薬でも効果がありますが、症状がつらい場合は耳鼻科で相談するのがおすすめです。
本当に虫歯がないか確認しておくことも大切です
副鼻腔炎による歯の痛みについてお伝えしてきましたが、一方で「副鼻腔炎だと思っていたら、実は虫歯だった」というケースもあります。
自己判断で「これは副鼻腔炎だから大丈夫」と決めつけてしまうと、本当に虫歯があった場合に発見が遅れてしまうことがあります。
虫歯は放置すると進行していきます。初期のうちは痛みがなくても、進行すると神経に達して強い痛みが出たり、最悪の場合は歯を失うことにもなりかねません。
だからこそ、「痛みがあるけど原因がわからない」というときは、一度お口の状態を確認しておくことをおすすめします。
虫歯がないことがわかれば安心できますし、もし虫歯があれば早めに対処することで、大がかりな治療を避けられる可能性が高くなります。
痛みがなくなっても、定期的なチェックを
花粉症の時期が過ぎて、鼻の症状が落ち着くと、副鼻腔炎による歯の痛みも自然と治まることが多いです。
「痛みがなくなったからもう大丈夫」と思いがちですが、この機会にお口の状態を定期的にチェックする習慣をつけておくと安心です。
歯医者は「痛くなったら行く場所」というイメージがあるかもしれませんが、本当は「痛くならないために通う場所」でもあります。
定期的にクリーニングや検診を受けていれば、虫歯や歯周病を早い段階で発見できます。もし何か問題が見つかっても、軽いうちに対処できれば、歯を大きく削ったり、神経を取ったりする必要がなくなる可能性が高くなります。
「原因がわからない痛み」も、相談してください
歯が痛いとき、その原因が虫歯なのか、副鼻腔炎なのか、それとも他の何かなのか、自分で判断するのは難しいものです。
「こんなことで歯医者に行っていいのかな」「原因がわからないと怒られるかな」と思う必要はありません。
当院では、どんな小さな不安でもお聞きします。お口の中を拝見して、虫歯があるかどうかを確認し、もし歯に問題がなければ、他の原因の可能性についてもお話しします。
必要に応じて、耳鼻科の受診をおすすめすることもあります。痛みの原因を一緒に探して、適切な対処につなげるお手伝いをします。
「花粉症の時期に奥歯が痛くなる」「虫歯かどうかわからないけど気になる」。そんな方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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